第10回日本下肢救済・足病学会学術集会の開催にあたって
会長 東 信良
旭川医科大学外科学講座血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野 教授
このたび、第10回日本下肢救済・足病学会学術集会を札幌にて開催させていただくことになりました。学会創設以来10年の節目の学会を担当させていただくことは、大変光栄なことであり厚く御礼申し上げます。
テーマは「足病重症化予防に向けたパッションとエビデンス」とさせていただきました。この学会ができて、多くの診療科や職種の会員が経験や知識を共有して足病に対するチーム医療、集学的アプローチが多くの施設に普及し、その足病への取り組みは多くの患者さんに希望を与えてきたのではないかと会員の皆様のパッションに敬意を抱いてまいりました。パッションは、やや手遅れになりがちな重症例に向けられてきましたが、重症化した足病の恐ろしさを経験した私ども会員のパッションは重症化を予防するためにも向けられるようになり、そうした活動が実って、2016年より透析例の足病重症化予防に関する診療報酬加算という画期的な施策が為されました。第10回の学術集会では、この施策が臨床の現場でどのような成果を挙げているか、またその施策を活かすためにはどのような現場での取り組みが必要かを議論して、さらに重症化予防を前進させたいと願っております。
足病へのパッションが実を結び多くの患者さんに恩恵をもたらすためには、バックボーンとなるエビデンスが必要です。足病医の居ない我が国においても下肢救済・足病治療の進歩に貢献する多くのエビデンスがいろいろな診療科・職種から発信されるようになりましたが、それらが多くの診療科や職種で共有できているかどうかが重要となります。エビデンスを確立し、エビデンス共有をはかるのにも、また、パッションが必要です。学術集会では、多くの「エビデンスシリーズ」を用意し、現在進めている重症化予防のための足病ガイドブックに尽力しているメンバーが中心となって、「今、何がわかっていて、何がわかっていないのか?」「これからどのようなエビデンスが求められているのか?」を議論する場を用意させていただきます。そして、足病医のいない我が国ならではの足病重症化予防・下肢救済の取り組みが進歩・発展することに少しでも貢献できれば幸いです。
会期は7月13日から14日とさせていただいております。北海道にとりましては、待ちに待った夏を迎える時期であり、すがすがしい北海道の夏も楽しんで頂けるのではと思っております。いろいろな診療科・職種の皆様の多数のご参加を心よりお待ちいたしております。